「知財管理」誌

Vol.68 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 68巻(2018年) / 5号 / 667頁
論文区分 海外注目判決(No. 34)
論文名 (No. 34) [米国]Water Splash事件判決が米国訴訟における日本企業への訴状送達に与える影響
著者 横田真一朗/辰野嘉則
抄録  米国では、米国外所在の被告に対する訴状送達について、ハーグ送達条約に基づき原告が訴状を直接郵送によって有効に送達できるか争いがあった。Water Splash事件判決は、ハーグ送達条約は米国外の被告に対する直接郵送による訴状送達を禁止していない旨の判断をしたものである。これまで米国における特許侵害訴訟では、時間も費用もかかる日本企業への中央当局送達を回避するため、被疑侵害品を販売する米国子会社のみが被告とされることもあったが、今後、日本企業も被告とし、日本企業に対して直接郵送による訴状の送達が試みられる傾向が強まり、また、その場合に送達が有効と判断される可能性が高まったといえる。日本企業が直接米国のパテントトロールの攻撃対象となる可能性が高まったという意味でも、実務に与える影響は大きいものと考えられる。但し、Water Splash事件判決によっても直接郵送による訴状の送達が常に有効となるわけではなく、依然として残る問題点はある。
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