「知財管理」誌

Vol.69 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 69巻(2019年) / 7号 / 1001頁
論文区分 海外注目判決(No. 42)
論文名 (No. 42) [米国]誘導侵害の域外適用に関する米国連邦巡回区控訴裁判所判決
著者 小野康英
抄録  連邦巡回区控訴裁は、Enplas事件において、特許の直接侵害を構成する製品に組み込まれた一物品を米国外で生産・販売する行為に誘導侵害(米国特許法271条(b)項)の成立を認めた陪審評決を支持した。本事件は、結論こそ権利者勝訴であったが、法廷意見が本事件を「際どい事件(close case)」と特徴づける程度に、誘導侵害の成否につき微妙であった。本事件の検討は、誘導侵害の成立に肯定的に作用する可能性のある証拠、及び、域外適用を含む誘導侵害規定の理解に好適と考えられる。本稿では、誘導侵害についての現行ルールの一適用事例として、本事件の経緯及び連邦巡回区控訴裁判決の概要を紹介する。また、本稿では、本事件との関係に適宜言及しつつ、誘導侵害法理及び米国特許侵害規定の域外適用法理を概観する。本稿が、両法理の理解、及び、米国外の事業活動と米国特許侵害との関係の理解の一助となれば幸甚である。
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