「知財管理」誌

Vol.71 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 71巻(2021年) / 7号 / 993頁
論文区分 海外注目判決(No. 63)
論文名 (No. 63) [ドイツ]サプライチェーンにおける 標準必須特許に基づく差止とFRAND抗弁
著者 長谷川 寛
抄録  通信などの分野などにおける標準規格の実施に不可欠な特許(標準必須特許)の保有者は標準必須特許によって標準規格の普及が阻害されぬよう公正、合理的かつ非差別的な条件(FRAND条件)で第三者にライセンスを付与することが義務付けられている。このため標準必須特許の保有者は、ライセンスを受ける意思のある第三者に対してはライセンスの付与を拒否することができず、これに違反した場合は差止が認められないというペナルティが課される。しかしサプライヤーと最終製品メーカーとが参加するサプライチェーンでは標準必須特許の保有者はどのように立ち振舞うべきであろうか。例えばライセンスを受ける意思があるサプライヤーに対してライセンスを拒否しつつ、最終製品メーカーに対して差止請求権を行使することは認められるのであろうか。
 今回紹介するマンハイム地裁におけるノキアvsダイムラー事件はまさにこのサプライチェーンにおける標準必須特許に基づく差止請求権の行使がFRANDに違反するか否かの問題を扱った事件である。
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