「知財管理」誌

Vol.71 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 71巻(2021年) / 8号 / 1035頁
論文区分 論説
論文名 派遣社員による職務発明についての一考察
著者 盒供―
抄録  特許法35条においては、従業者が行った発明が職務発明に該当する場合、使用者は従業者に対して「相当の利益」を交付することが求められている。「相当の利益」は、特許法及び職務発明制度の目的である産業の発達に資するために、従業者が将来継続して使用者において更なる発明をするためのインセンティブとして付与されるものである。そのため、短期的な勤務しか予定しない派遣労働者については、インセンティブを与えても更なる発明がもたらされる可能性は低いため、派遣労働者と正社員との間において相当の利益につき差異を設けることが合理的とも思えるが、一方、そのような差異を設けることは、同一労働同一賃金を定める派遣法に反し、違法であるとの見解もあり得る。この点については、労働法の制度趣旨と、職務発明制度の趣旨は本質的に異なり、「相当の利益」の付与は労働法上予定されている他の経済給付とは性質が異なるため、その給付について派遣労働者と正社員との間に差異を設けることは妥当であると解される。
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