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国際活動
4th meeting of the SACEPO Working Party on Quality参加報告
- サマリ
- (1) EPO主催の品質関連会議SACEPOへ参加した。
- (2) 2日間以下の構成で運営がなされた。
1日目午前: 2018年のSACEPO振り返り 、Strategic Plan 2023 Goal 3: Master quality、将来のSACEPOプログラムについてEPOより説明。
午後: 事前に割り振られたフォーカスグループでの討議と纏めの発表2日目
5つのグループに分かれ、
午前:新規性(Art.54EPC)
午後:補正要件(Art.123(2)EPC)についてAssessorが事前に評価したケース(Total20件)の説明後、オブザーバーのもと、審査の改善余地に関する意見の交換。
纏め発表 - (3) JIPAからは事前に用意した品質に関するフィードバック・満足度調査項目に関する課題と意見を提示した。
- 日時・参加目的
- ①日時:2019/10/16 AM9:30-PM17:30
2019/10/17 AM9:00-PM17:00 - ②場所:ドイツ・ミュンヘンEPO Isar building
- ③参加目的
- EPOより、日本は重要な地域であると認識されており、その最大のユーザー団体としてのプレゼンスを継続して高めるため。
- 事前に収集したユーザー満足度調査・ユーザーフィードバックに関する会員企業からの改善要求をEPOへ伝えるため。
- ①日時:2019/10/16 AM9:30-PM17:30
- 詳細
- (1) 参加者について
- ユーザー団体
国・地域 団体名 人数 欧州 EPI 3 Business Europe 2 FICPI 2 Union IP 1 日本 JPAA 2 日本 JIPA 2 米国 AIPLA 2 米国 US Bar 1 米国 IPO 1 - 民間企業
国・地域 企業名 ドイツ SIMENS AG イタリア Electrolux オランダ Shell - 代理人
国 事務所名 ドイツ Vossius & Partner
- ユーザー団体
-
SME Representatives 2名- 1日目 調査委託会社 ベレント社 4名
- 2日目 Assessors 10名
- (2) 各セッションに関して
①ユーザーフィードバック
1つのグループ、全5名で議論を行った。
JIPAからは- 単一性違反基準に関し、他国との調和を希望する
- USのOfficeActionサマリーのように許可できるクレームは明記希望する
- 期間(1stのあと期間が開いている・古い案件は遅いままの場合がある) とコミュニケーションの記載がわかりにくい(許可クレーム・拒絶との対比)
- 許可する補正の示唆はありがたい 統一した判断のもとでの提案を希望する(異議などで潰れない)
- クレーム以外の他の部分は機械翻訳も可を希望する
- 付与後異議のあと明細書の全文補正を負担に感じる出願人もいる
- 新規事項の判断基準を緩和してほしい等の意見発信を行った。
②ユーザー満足度調査
満足度調査に関してのグループはPrivate practice, Large industry, SMEの3つに分けられており、 JIPAはLarge Industryグループに割り当てられた。 同じグループに割り当てられたシェル、エレクトラックス、シーメンスからの出席者と4名でそれぞれ課題に関する意見を交わした。
4者の合意事項については調査委託されているベレント社の担当者が調査項目への落とし方を検討する材料にするとのこと。
JIPAが事前に用意した多くの意見は4者とも同様であったが異なっていた主な項目としては以下②-1,2が挙げられる。②-1
EPOのHPのWebiner、セミナ情報、Espas,Register に関しては、調査会社に完全依頼していて使用しないため他の3者は比較的重要視していないという意見だった。
JIPAとしてはHPから直接情報をとることは多々ある、 Espasなどのインターフェースが見辛い(欲しい情報へのアクセスが簡単ではない)、生死情報やファミリ情報、包袋情報などレジスターの情報と1つに統合してほしい点、 1分間に10アクションまでの制限が厳しい点などを伝えた。特にインターフェースは全体でのレビュー結果発表時に取り上げられた。②-2
非公式のインタビューの活用希望に関して、他の出席者においては審査官から電話で補正の提案が来ることはあっても自らリクエストすることは殆どない様子であった。
非公式インタビューの設定(EPO側からの場合事前予告を希望・出願人側から依頼の場合極力受け入れていただきたい)
という点でJIPA意見の賛同が得られ、レビュー資料に盛り込まれた。
また、全般事項として、今後、EPOが追加しようとしている項目について否定的な意見は特に認められなかったが、満足度調査の質問文が包括的表現の場合、 聞かれた相手が質問の意図を同じように受け取りにくく、同じレベルでの回答は得られにくいことは全員一致の意見であった。
今後の調査項目とそれらの改善に期待したい。③Workshop 新規性Art.54EPC 補正要件Art.123(2)EPC)
ワークショップは5つのグループ(HBC1,2,ICT1,2 M&M1)に分けられ、各グループのAssessorが予め評価した実際の案件における一部の情報の説明を受け、 EPOの対応における改善余地がないかという視点で午前は新規性判断、午後は補正判断について議論が行われた。
JIPAはICTのグループとM&Mのグループに割り当てられた。EPOとしても初めての試みであること・限られた情報のみの開示であることから議論は困難な面もあったが M&Mではサーチが不十分でA文献しか初めに提示されなかったにもかかわらず後にY文献の提示があったり重要にもかかわらず取り上げられなかった引例に関する指摘があった、 ICTのグループにおいては審査官の補正提案の事例に関して、提案はどの程度迄すべきか、責任はだれがとるのかといったような意見が出た。④今後のSACEPOについて
今後、1年に2回の開催を考えている。
現状、出席者の渡航費用等を提供しているがそれらのコストセーブのためにも遠隔地のビデオ参加も検討している。とのことである。
期間に関しては欧州の参加者より、1回の開催に2日間は長いという意見、 EPOが品質やサーチはGood、先行技術のMaster、等、度合いの不明な文言を多用している点について、定義尺度は何なのか明確にして議論すべきという意見も出ていた。 - (3) 所感
会議は参加者の意見を収集する目的か小グループ討議に多くの時間が使用された。1日目のグループ討議の場合、モデレータがベレント社であり、 EPOのメンバーは一定の時間で入れ替わり様子を見に来ていたため、全ての意見について、EPO側のフィードバックや具体的なアクションプランが 示されたわけではないが意見を収集する姿勢は非常に丁寧なものだったと感じた。
SACEPOはその運営方法に関して毎年変化を重ねており、今回から始まったグループ討議や発表タイム等は今後もその範囲を進歩性等まで広げながら 取り入れられるのではないかと考えられる。欧米の参加者・庁関係者との討議について、今後ビデオ参加制度ができたとしても主体的に向き合い JIPAの意見を十分に伝えるためには少なくとも発言者は現地で参加することが必要であると考える。
他の企業からの出席者に関してはプレイイングマネージャー・マネージャー級が多く出席している様子であった。
また、EPIやJPAA等からは代表格と実務担当格の2名体制で出席していた。
今後のJIPAからの出席者は可能な限りEPIやJPAAと同様のメンバー構成とし、実務者レベルの出席者はEPO案件数をある程度経験している者の方が他の出席者と議論が有意義に行えるという点で望ましいと考える。
- (1) 参加者について
以上
(JIPA理事 山中昭利/JIPA国際第2委員会 井波ゆき恵)
