国際活動

2023年商標五庁(TM5)会合ユーザーセッションへの委員派遣

 
 2023年9月13日(水)、韓国 仁川で開催された日本・米国・欧州・中国・韓国の商標五庁(TM5)会合のユーザーセッションに商標委員会が参加しました。
 本会合は、TM5が取り組んでいるプロジェクトや共通テーマについてユーザー団体と意見交換を行い、商標制度・運用の改善およびユーザーフレンドリー・ハーモナイゼーションの促進を目的としています。参加団体は、JPO、USPTO、EUIPO、CNIPA及びKIPOの各国商標所管官庁と、WIPO、JETRO、各国・地域のユーザー団体です。
 本会合は、昨年に引き続き、ハイブリッド方式の開催となりました。商標委員会から、小林副委員長(富士通)、塩出副委員長(アシックス)の2名を現地に派遣し、同委員会メンバー8名がに、日本からオンライン参加しました。
 今年は、各庁および各国ユーザー団体からのプレゼンテーションの後、現地参加者向けに例年のようなテーブルディスカッションに代えて各庁の参加者と直接会話をする機会が多く設けられていました。そのため、中国や韓国の法改正の状況や米国の使用証拠の審査状況など、各国個別のテーマについて、JIPA会員企業の要望・懸念点を直接発信でき、各庁の率直な意見を聞けたことで大変有意義な会合となりました。以下、各庁との意見交換について報告します。
  • ユーザーセッションの様子

■各庁参加者との意見交換内容

  1. 韓国特許庁(KIPO)
    韓国の早期審査制度について、日本ユーザーからは指定商品・指定役務の全部に使用しているケースや使用準備中のケースだけでなく、その一部にのみ使用しているケースでも利用しやすくしてほしいという要望があることを発信しました。
  2. 中国国家知識産権局(CNIPA)
    中国商標法改正に関して、重複登録の禁止や更新時の使用状況の説明について、慎重な意見を持っている日本ユーザーが多いことを発信しました。また、当該法改正で異議申立ての理由補充期間が3か月から2か月に短縮されることについて、外国企業にとって2か月で異議理由を述べるのは困難であることを伝えました。
    さらに、悪意の商標出願への対策強化がなされている一方で、正規のブランドオーナーが冒認出願対策で大量出願した際に悪意の出願として拒絶されたことがあることを伝え、課題意識を共有しました。
  3. 米国特許商標庁(USPTO)
    登録時や更新時等の使用証拠の審査が非常に厳しく、特にコンセプトブランドや技術ブランドに関する商標登録を維持することが困難であるという課題意識を共有するとともに、使用証拠の審査について、ユーザーの負担軽減のため、柔軟に行ってほしい旨を表明しました。
  4. 欧州連合知的財産庁(EUIPO)
    EUIPOに申請することで実施可能な先行商標の調査について、ユーザーのメリットについて協議をし、EUIPOからは特に重要商標の確実な権利化のために有効な手段であるとの回答を得ました。

 商標委員会では、アフターコロナを迎え働き方が変化する中でも、JIPA加盟各企業にとって利便性が高い商標制度になるよう引き続き意見発信や政策提言を進めます。
 併せて、他のユーザー団体との連携をとりながら、各プロジェクト等への意見表明や説明を通してJIPA加盟企業にとって有益なものになるよう導くとともに、TM5の発展及び商標業界でのJIPAのプレゼンス向上への寄与を図ります。

(参考)特許庁ホームページにおける紹介記事
https://www.jpo.go.jp/news/ugoki/202309/2023092501.html

以上

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