国際活動

EPLAW(欧州特許弁護士協会)との意見交換を実施

2025/11/20、EPLAW(European Patent Lawyers Association)のJapan Outreachチームが来日し、JIPA東京事務所において、両団体として初めての合同ワークショップ「European patent litigation: the various options and strategical pros and cons」を開催しました。EPLAWは欧州各国の特許訴訟専門弁護士により構成され、2023年以降、日本との対話・交流を強化しており、今回の来訪はその一環として実施されたものです。

当日は、EPLAWより、Japan Outreach Committee ChairのAlex Wilson氏、Vice-ChairのMarleen van den Horst氏をはじめ、欧州主要5法域(独・英・蘭・伊・西)から計14名の弁護士が参加。JIPAからは、東京事務所で上野専務理事、国際第2委員会谷口委員長、岩見副委員長、加藤副委員長、松本宗事務局長代行、事務局が参加、総勢20名規模の会合となり、オンラインでも配信を行いました。

冒頭、上野専務理事より来訪を歓迎し、UPC(統一特許裁判所)の発足をはじめ欧州特許制度が大きな転換点にある中で、国際的な実務交流の意義についてご挨拶をいただきました。その後、国際第2委員会委員会・谷口委員長より、委員会の欧州関連ワーキンググループ活動について紹介が行われ、続いてEPLAW側からは、UPCの制度設計への関与、判事研修、EPOとの連携、そして日本との継続的な対話の重要性について説明がありました。

ワークショップでは、まずLudvig Holm氏より、欧州司法裁判所(CJEU)によるBSH Hausgeräte / Electrolux判決について解説が行われ、被告本拠地を基点とした“長腕管轄”の拡大が、欧州における侵害・無効手続の構造を大きく変えつつある点が示されました。続いて、Marlene van den Horst氏より、UPCの手続構造、フロントローディング型審理、費用構造、最新の利用状況などについて概説が行われました。

その後、欧州5カ国の弁護士によるパネルディスカッションでは、

  • BSH判決がUPC/国内裁判所に及ぼす影響
  • PI(仮処分)/本訴における法域ごとの違い
  • UPCと各国手続を組み合わせた戦略
  • 被告側が事前に取るべき防御措置(opt-out、無効準備、Arrow declaration等) など、各国実務の比較と戦略的示唆が多角的に議論されました。

世界的に特許訴訟環境が大きく変化する中、EU域内外を巻き込む訴訟構造の複雑化が進んでおり、今回のEPLAWとの意見交換は、日本企業の欧州特許戦略を検討する上で大変有意義なものとなりました。
今後もJIPAとして、EPLAWとの継続的で安定した交流関係を発展させていくことの重要性を再確認することができました。

  • 上野専務理事ご挨拶
  • 谷口委員長ご発表
  • パネルディスカッション
  • 集合写真
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