国際活動

2026年2月2日 WIPO PCT作業部会(第19回)への参加

 スイス・ジュネーブの世界知的所有機関(World Intellectual Property Organization: WIPO)において、2026年2月2日から2月6日までの5日間にわたり、第18回PCT作業部会(PCT-WG)の第4日目、第33回PCT技術協力委員会、および第19回PCT作業部会(PCT-WG)が開催されました。PCT-WGは、PCT同盟総会に提案すべき議題を、加盟国の政府当局代表、国際機関代表、およびユーザー団体代表が一堂に会して協議する国際会議で、JIPAはオブザーバーとして参加しています。
 今回のPCT-WGには、国際第2委員会から、谷口貴啓委員長(村田製作所)、林健司委員長代理(TOPPANホールディングス)、および岩見洋子副委員長(富士フイルム知財情報リサーチ)の3名のメンバーが現地参加しました。事前に特許庁や日本弁理士会と意見交換を行い、3つの意見を準備して会議に臨みました。PCT-WGでは議題採択について全会一致を目指す調整が行われましたが、前回に引き続き「知的財産、遺伝資源及び関連する伝統的知識に関するWIPO条約(以下、GRATK条約という)」の議題を含めるかで全会一致に至りませんでした。そのため、予定されていた議題についての正式な議論が中断されることになりました。
 JIPAとしては、WIPO国際事務局に対し、以下の意見を口頭及び書面にて表明してきました。
  1. 国際出願の電子処理(AI)
     私たちは、AIが得意とする分野を中心に、PCTシステムへの導入を積極的に進めることを歓迎する。同時に、大切なデータを守り、すべての国際出願を適正に処理するために、強固な安全策を講じることの重要性を強調したい。明確なルールの下でAIを活用することが、手続きの迅速化と、より質の高い成果につながるものと確信している。
  2. 国際出願の電子処理(カラー図面)
     カラー図面での出願や公開が可能になれば、出願人はより正確に技術情報を伝えることができ、これは大きな進歩と考える。また、第三者の出願内容を正しく理解し、互いの権利を尊重することにもつながると考える。こうした環境は、企業が適正かつ円滑に事業を進める上でも、非常に有益であると考えている。
  3. GRATK条約
     私たち日本知的財産協会(JIPA)は、会員企業1,404社(2026年2月4日現在)を擁する世界最大級の知的財産ユーザー団体であり、多くの会員企業がPCT制度を活用している。私たちは以下の理由からGRATK条約に関して、PCT規則や実施細則の改正に係る議論は時期尚早と考える。
    • GRATK条約は2024年5月のWIPO外交会議で採択されたものの、現時点で批准国は2か国であり、発効には至っていないこと
    • 各国がこの条約をどのように実施するのかまだ明らかでないこと
    • このような状況において拙速な議論はPCT制度の運用面・出願人の制度利用面での意図しない不必要な負担をきたしかねず、出願人に不必要な負担を強いることになってしまうことが懸念される。この使いやすいPCT制度を維持するためには慎重な対応が必要であると考える。
 今回は、結果的に本会議が中断されることになりましたが、国際交渉の最前線における臨場感と難しさを肌で感じることができました。会議の合間には様々な参加者と直接対話を行い、それぞれの立場などについて理解を深めることができました。
 各特許庁における合意形成が重要である国際舞台において、ユーザー団体であるJIPAが、実務への影響の観点から意見発信し続けることの意義について再認識することができました。  
 今後もJIPAは世界最大級のユーザー団体として、ユーザーの声を規則・制度設計に反映してもらえるよう、国際事務局および各国に意見発信を続けて参ります。
  • 前列はPCT-WGのAleksandra Mihailović議長
    後列左から、岩見洋子副委員長、
    谷口貴啓委員長、林健司委員長代理
  • 左から2人目はCTCのUnnat P. Pandit議長
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