「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 75巻(2025年) / 9号 / 1255頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 566) |
論文名 | (No. 566) 複数相違点の一体的検討及びその技術的意義から進歩性を肯定した事例─バリア性積層体事件─ |
著者 | 明石尚久 |
抄録 | 令和6年4月22日判決(令和5年(行ケ)第10091号)「バリア性積層体」事件において、知財高裁は、進歩性判断において本件発明と引用発明との間の複数の相違点を一体として考慮し、進歩性を肯定した。本稿では、本判決を中心に、どのような場合に複数の相違点が一体的に判断されるか、また、相違点の一体的判断や技術的意義の認定が組み合わせの動機付けの判断に与える影響、及び特許庁と裁判所の判断枠組みの相違等を概説する。更に、これらを踏まえた実務上の留意点として、出願人・特許権者が有利に進歩性を主張するために、明細書へ複数の構成を一体としたときの課題解決原理や、先行技術に見られない課題(技術的意義)を十分に記載しておく重要性を述べる。他方、第三者が無効化を図る際には、複数の相違点に係る構成が記載された副引用文献を提示するだけでなく、特許発明の課題や技術的意義を容易に想到し得たことを十分に主張・立証することの重要性を指摘する。 |
