「知財管理」誌

Vol.48 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 48巻(1998年) / 12号 / 1891頁
論文区分 論説
論文名 カナダ特許法および特許侵害訴訟(その1)
著者 角修二
抄録 1996年10月1日にカナダ特許法を改正する改正法が施行され、特許手続きも従来とは異なるものとなった。改正法では、出願日付与の条件が緩和された。また、期間渡過によって放棄となった出願の回数の道が増える等、出願人にとって歓迎すべき改正となっている。カナダの特徴である医薬品特許の扱いに関しては、現行特許法でも特別な規定がある。特許侵害訴訟で現在問題となるのは旧特許法の適用で権利となった特許権が中心であり、新特許法が適用されて権利化されたものとは、攻撃防御が異なる。旧特許法が適用される場合に特許無効となる理由は、新規性欠如あるいは自明よりも明細書記載不備等が多い。新特許法の下では自明により特許無効となる事件が増えるものと思われる。特許侵害訴訟におけるクレーム範囲の解釈では、従来の手法に加えてイギリスの裁判例に基づいた手法が導入され、現状では侵害認定の手法については混乱している状況である。カナダのパテントエージェントには、ロイヤーに認められる「法律上の秘密保持特典」は一切認められないため、カナダでの特許の問題についてアドバイスを求める場合にはその点を考慮する必要がある。
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.