「知財管理」誌

Vol.48 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 48巻(1998年) / 9号 / 1475頁
論文区分 判例と実務シリーズ
論文名 No.243 特許出願の「図面」のみに表された数値(角度)には発明の認識がないと判断された事例
著者 北村修一郎
抄録 特許出願の願書に添付の「図面」は、当該発明の技術内容を説明する便宜のために描かれるものであるから、「設計図面」に要求されるような正確性をもって描かれているとは限らない。引用例の「図面」(別紙図面B参照)に描かれているくさびシューがたまたま「約50度ないし約55度」のデーパ角度を示しているからといって、「引用例には、くさびシューのテーパ角度を約50度ないし約55度に構成する本願発明(別紙A参照)の技術的思想が開示されている」ということはできない。そうすると、「引用例には、約50度、約53度、約55度のテーパ角度を有するくさびシューが記載されている」とした審決の認定は誤りであり、本願発明の進歩性を否定した審決は、その余の取消事由について論ずるまでもなく、違法として取消しを免れない。
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