「知財管理」誌

Vol.66 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 66巻(2016年) / 2号 / 127頁
論文区分 論説
論文名 中国の専利権侵害訴訟における公証および司法鑑定について
著者 白洲一新
抄録  近年、中国における知的財産権民事事件は急激に増加している。2014年に受理された専利権1)に関連する民事事件は9,648件2)にのぼる。その件数分の証拠が当事者から提出され裁判所で判断されてきたなか、知的財産権民事事件での証拠確保の方法やその有効性の判断等について、相当数の判例が蓄積されている。
 しかしながら、中国における当該証拠確保の方法や法的有効性の判断基準等に関する規定は、ハーモナイズされた知財制度と異なり、中国独自の民事訴訟法制度によるものであって、日本企業にとって実務上戸惑う点が多い。
 そこで、本稿は、法律文言の逐次解釈ではなく、筆者のこれまでの中国での訴訟経験および上述の蓄積された判例をもとに、現に民事事件の実務で使われた証拠の法的有効性を担保する「証拠の鎖」の概念を説明し、専利権侵害訴訟等での立証における公証および司法鑑定に焦点を絞って、日本企業等にとって実用性のある中国での専利権侵害訴訟等における証拠確保の方法を提案する。
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