「知財管理」誌

Vol.66 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 66巻(2016年) / 7号 / 845頁
論文区分 海外注目判決(No. 15)
論文名 (No.15) [欧州]意匠法上の“修理条項”の商標の使用への適用可能性について
著者 アインゼル フェリックス=ラインハルト
抄録  欧州連合(EU)においては、自動車部品を典型例とする複雑な製品の交換部品であるいわゆるスペア・パーツに対して、意匠権による保護を受けていたとしても、一定条件下、意匠法上の“修理条項”を根拠として権利行使が認められない加盟国がある。欧州共同体意匠法も“修理条項”を採用しているため、欧州連合全体で法律のハーモナイゼーションが全く図れていない状況である。結果、ある加盟国で意匠権の侵害に該当する行為が他の加盟国では意匠権の侵害に該当しないため、欧州連合の最も重要な政策の1つである「物の自由な移動」が図れていない。そのような中、意匠法上の“修理条項”を、他人の商標権をスペア・パーツについて自由に使用するための根拠規定として使えないかという主張がイタリアの裁判所においてなされ、この点が欧州司法裁判所に付託の後、否定する決定がなされたというのが本件である。
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