「知財管理」誌

Vol.73 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 73巻(2023年) / 8号 / 969頁
論文区分 論説
論文名 不正競争防止法における営業秘密保護
著者 浅井由佳
抄録  不正競争防止法(以下、不競法と略す)第2条6項の営業秘密の要件の一つである秘密管理性においては、秘密保持契約等が米国と比較しても重視されていないともいわれており、アクセス制限の一つとしてとらえられる傾向にあった。2015年の営業秘密管理指針全部改訂では、アクセス制限と客観的認識可能性は個別独立した要件ではなく、情報にアクセスした者が秘密であると認識できる場合には、十分なアクセス制限がないことを根拠に秘密管理性が否定されることはないとの考えが示されたが、それ以降の裁判例において、アクセス制限等の物理的な管理が秘密保持義務を補完する傾向が見えつつある。本稿においては裁判例での秘密保持義務の扱われ方の傾向を比較検証するとともに、米国やドイツの「合理的な措置」での秘密保持義務との比較を通して、秘密管理性における秘密保持義務について考察する。
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