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WIPO-SCP (Standing Committee on the Law of Patents) 20th sessionへの参加

2014年1月27日〜31日、スイスジュネーブで開催されたWIPO第20回Standing Committee on the Law of Patents(特許法常設委員会)に、医薬バイオテクノロジー委員会から上田 浩史 氏(委員長)、廣岡 照大 氏(臨時委員)ほかが参加しました。

このフォーラムは、年にほぼ1回WIPO主催で開催され、世界各国の政府機関代表者、並びにオブザーバーとして各協会や民間団体、NGOからの代表者が参加し、知的財産に関する議論をするものです。議論内容としては、例えば、以前には、SPLT (Substantive Patent Law Treaty)などが議論されていました。

今回のフォーラムでは、「特許の質(Quality of patents, including opposition systems)」、「特許権の例外と制限 (Exceptions and limitations to patent rights)」、「特許と健康(Patents and health)」、「技術移転(Transfer of technology)」、及び「秘匿特権(Confidentiality of communications between clients and their patent advisors)」などを議題とし、それぞれのセッションにおいて、各国より提案や意見が活発に出されました。

JIPAが、このフォーラムに参加するのは、2003年5月(第9回)以来となります。今回の参加は、特許法の調和に関し、国際的な会議の場で各国よりどのような意見が出されているのかを把握し、今後JIPAとしてどのような取組みや活動が必要となるかの指標とすることを目的としました。
従来の日米欧三極や中国・韓国を加えた五極の会合とは異なり、アジア、アフリカ、南米等の様々な国を含め先進国と途上国・後発途上国が一同に参加するため、その議論内容は色調が異なるものでした。途上国・後発途上国は人道の観点から特許権の例外と制限をフレキシブルにすること、健康に関する特許権の取扱を柔軟にすること、途上国の発展ために技術移転を加速することを主張するのに対し、先進国は特許権の重要性、医薬等の開発には時間と費用がかかりその投資回収が必要でそのために特許権が重要であること等を主張し、日本の代表からはJIPAが関与したWIPO Greenの活用が技術移転に有用であることの主張もされ、今後これらの点を踏まえ特許をどのように国際的な調和を図っていくかが議論されました。

このフォーラムは、各国の政府機関代表者の主張を中心に議論が進められ、政治的な議論も見られるため、JIPAとして積極的な発言をすることは難しいが、今後JIPAが世界の産業の発展にさらに寄与していくため、また特許法の調和について国際的な動向を把握するために、有意義な参加でありました。今後もこのフォーラムの活動に参加・フォローしていくことは有用である、との認識の機会となりました。

[Update 2014-02-07 ]