「知財管理」誌
Vol.75 記事詳細
| 掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 75巻(2025年) / 11号 / 1608頁 |
| 論文区分 | 海外注目判決(No. 109) |
| 論文名 | (No. 109)[米国]印刷物の法理と実務対応 ─IOENGINE事件を踏まえて─ |
| 著者 | 有馬佑輔/ハーマン・パリス |
| 抄録 | 2024年5月、米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)は、Ioengine, LLC v. Ingenico Inc.事件において、特許審判部(PTAB)のPrinted Matter Doctrine(印刷物の法理)の適用判断を一部覆した。本事件は、ポータブルデバイスによる暗号化通信およびプログラムコードのダウンロード機能に関連する発明を巡るものであり、PTABはこれらの要素を単なる情報の内容と評価し、Printed Matter Doctrineを適用して特許性を否定した。CAFCは、これに対し、情報の内容そのものではなく、その形式(暗号化)や内容が特定されていない機能的要素(プログラムコード)をクレームするものは印刷物の法理における印刷物に該当しないとして、PTABの判断を覆した。本稿では、同判決の背景、印刷物の法理の解釈、および実務上のリスクと対策について解説し、米国特許実務における明細書およびクレーム起案の留意点を提示する。 |
