「知財管理」誌
Vol.75 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 75巻(2025年) / 6号 / 716頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 105) |
論文名 | (No. 105) [米国]グレースピリオドには頼れない?「公開開示」の厳格化による権利化の注意点 |
著者 | 野口ケルビン |
抄録 | 米国特許法(AIA)における先発明者先願主義(first inventor to file)への移行後も維持されたグレースピリオドに大きな影響を与えるSanho Corp. v. Kaijet Technology International Limited, Inc.事件(Sanho事件)について分析する。本件では、グレースピリオド内の発明者による私的な販売が、AIA102条( b)( 2)( B)における「公開開示」に該当し、後続する第三者による特許出願を先行技術から除外できるかが争点となった。しかし、米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)は、私的な販売は発明を公衆に合理的に利用可能な状態にしないため、「公開開示」に該当しないと判断した。この判決は「公開開示」に技術的詳細の開示を要求し、グレースピリオド内に出願された他者特許文献が先行技術として残るリスクを高めた。本稿では厳格化された「公開開示」の意義と実務への影響を考察する。 |
