「知財管理」誌
Vol.75 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 75巻(2025年) / 8号 / 1073頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 565) |
論文名 | (No. 565) バンドスコアの模倣による一般不法行為の成否 |
著者 | 山口裕司 |
抄録 | 北朝鮮映画著作物事件最高裁判決に照らすと、著作権法で保護されない行為について不法行為の成立を肯定できるような特段の事情が認められるのは、かなり限定された場合になると考えられるが、近時の裁判例は、自由競争の範囲を逸脱したことを特段の事情を認めるキーフレーズとしているようにも見受けられる。本判決は、この点で近時の裁判例と類似するが、一致率を被控訴人会社が控訴人スコアを模倣したという推認を補強する有力な根拠に用いている。一致率の高いバンドスコアを模倣と推認して不法行為を認めるとすれば、最初に刊行されたバンドスコアが音源にかなり忠実に制作されている場合、後行の業者は一致率が高いバンドスコアを刊行するのは難しくなり、萎縮効果が大きいと思われる。本件において、著作権侵害行為と区別される剽窃行為について、どこまで法的責任を追及するのが妥当なのかが問われている。 |
