訂正の遡及効と被疑侵害者の過失掲載巻(発行年) / 号 / 頁62巻(2012年) / 8号 / 1083頁論文区分論説論文名訂正の遡及効と被疑侵害者の過失著者佃 誠玄抄録訂正の遡及効と被疑侵害者の過失の関係につき考察した。日本の裁判例を概観したところ、多くの場合、訂正があっても侵害が成立する限り過失が擬制されるかのような運用がされているように見受けられた。この問題の取り扱いは国毎に大きく異なっており、国際的に確立した基準は存在しない。立法趣旨、当事者の公平、他の制度との関係等からは、訂正があっても一律に過失が擬制されるという運用に必ずしも十分な合理性があるとは考えにくい。訂正後クレームの訂正前侵害行為に対する損害賠償請求事件では、訂正後クレームの予測可能性を適切に評価すべきである。訂正後クレームの予測が容易であったのであれば過失を認め、訂正後クレームの予測が困難であったのであれば過失を否定する、というように、具体的事案に則した慎重な判断がされることにより、公平な紛争解決が図られると考える。