五庁長官・ユーザ会合、五極ユーザ会合等への参加報告

 韓国ソウルにて開催された、五極ユーザ会合(2024年6月18日)、五庁長官・ユーザ会合(同19日)に、国際政策WGの担当理事である若代副理事長、WGリーダ田中、メンバー宮下、大塚、加藤が参加しました。
 五極ユーザ会合では、技術協力に関する議題として、①電子署名、②NET/AI、③図面様式統一、④グローバル譲渡書、⑤グローバルドシエを中心に、各国ユーザ団体の意見/アイディアが共有され、意見の擦り合わせが行われました。また、戦略トピックとしてのSME(Small and medium-sized enterprises)支援に向けた各ユーザ団体の取り組みの共有、議論が行われました。
 五庁長官・ユーザ会合では、五極ユーザ会合でまとめられたユーザ意見が、五極ユーザの総意として力強く発信されました。五大特許庁からは、ユーザからの貴重なフィードバックであり、参考にしたいとのレスポンスがなされました。また。戦略トピックSME支援については、5庁そしてWIPOの取り組みと各ユーザ団体の取り組みとが相互に紹介され、これらを踏まえて、SME支援を強化する更なるアイディアについて議論がなされました。

1.五極ユーザ会合(6月18日)
 日米欧韓中の五極ユーザ団体(JIPA、AIPLA、IPO、Business Europe、KINPA、PPAC)の代表者が集まり、五庁長官・ユーザ会合に向け、各国ユーザ団体からの意見を集約し五極ユーザのワンボイスとして発信するための意見のすり合わせ、各団体から個別に報告する事項の確認を行いました。
 JIPAからは、特に、NET/AIに関連して、JIPA有識者連携WG特許政策Tメンバーの関心が高かった記載要件の各庁比較、AIが生成する先行技術について5庁で議論すべきこと、既に作成されたAI関連の仮想事例を活用した五大特許庁のそれぞれの審査の考え方を整理すべきことをユーザからの要望として発表することを提案し、他極ユーザ団体の賛同を得ることに成功しました。
 また、JIPA情報システム委員会でのグローバルドシエの改善項目についての調査・分析に基づき、翻訳文の更なる充実、また、案件のステータスの変化に応じたアラートをRSSでなくe-mailで行って欲しいとの要望案を紹介し、他極ユーザの賛同を得ることに成功しました。
 戦略トピック(Strategic Topic)であるSME支援については、今般、五庁(+WIPO)が作成しているSME支援内容を纏めたパンフレットは、以前JIPAの少数知財研究会から要望があった5庁の中小企業向けの減免制度などの支援情報の一元化に応えるものであり謝意を示すとともに、このパンフレットの更なる利便性向上に向けた改善提案を行いたい旨JIPAから他のユーザ団体に紹介し、五庁長官・ユーザ会合の場でJIPAからこれらの発表を行う機会を確保することに成功しました。またJIPAからのSME支援例として、JIPAの会員向け研修メニューや、JIPA会員企業においてなされたIPライセンスに対して新株予約権を取得することでSMEの成長を支援する実事例を他極のユーザに紹介しました。

五極ユーザ会合の様子 @Westin Josun Hotel

2.五庁長官・ユーザ会合(6月19日)
 日米欧中韓の各特許庁+WIPOと五極ユーザとにより、種々の施策や戦略トピックに関し、意見交換が行われました。今回の会議は、KIPO、KINPAの共同議長により、以下のような議題について議事が進められました。

  • Technical Cooperation
  • E-signature
    各庁の電子署名の扱いについて最新状況が紹介されました。
  • NET/AI
    JPOがAI事例追加(2024年3月)を報告、ユーザからは、発明へのAI寄与度に応じた分類定義の利用による議論の明確化を再度リクエストしました。また、記載要件の各庁比較、各庁での共通仮想事例の活用による5庁のAI関連発明の審査の違いの明確化、AI生成先行技術の扱いについての検討開始(JIPA有識者連携WG特許政策T要望要望)をリクエストしました。
  • Harmonization of allowable features in drawing
    ユーザからカラー図面を含む他の未調和アイテムの更なる調和の期待を表明しました。
  • Global Assignment
    五庁作成の共通様式案の提供を要望しました。また、WIPOが進めるグローバルIDの検討PJへのユーザ参加希望を表明しました。(PPACについては詳細未検討につき保留。)
  • Global Dossier
    優先5項目に関し、産業界代表としてJIPAから翻訳文未掲載の指摘、ステータス変化の通知はRSSでなくe-mailベースを希望する旨ユーザ意見を表明(JIPA情報システム委員会の調査・分析に基づく)しました。
  • Strategic Topic: The role of IP in fostering the growth of SMEs
     5庁+WIPOのSME支援内容をまとめたパンフレットを作成したとの報告がありました(公開予定)。なおこのパンフレットは、JIPA少数知財研究会からの要望(減免猶予などの五庁によるSME支援内容の情報一元化)に応えるものであり、JIPAから公開を歓迎する旨の意見表明を行いました。
     また、JIPAからは、JIPA会員向け教育メニュー、IPライセンスに対して新株予約権を取得した例をSMEに配慮したライセンス例として紹介しました。他国ユーザ団体も、SME向け教育支援、コンテンツを共有しました。
  • Update on IP5 Project Review
     5庁から、進行中PJのうち特に優先するもの(XML化、リーガルステータス、(出願人名称標準化)、グローバル譲渡書)について紹介がありました。これに対し、産業界は、電子署名、グローバル譲渡書、図面様式統一、プレポピュレーション(GD情報を利用した提出書類への自動入力)を重視している旨報告を行いました。
五庁長官・ユーザ会合の様子
@Four Seasons Hotel

<その他> サイドイベント「韓国第14回知財保護カンファレンス」(6月18日)
 五庁長官・ユーザ会議のサイドイベントとして、”韓国第14回知財保護カンファレンス”が開催されました。本会合では、WIPO Jorgenson知財部長代理の進行により、5大特許庁長官がAIをテーマとした知的財産について、活発な議論が行われました。

壇上の左側から(WIPO)Jorgenson知財部長代理、(EPO)Simon副長官、
(JPO)濱野長官、(KIPO)金長官代行、(CNIPA)申長官、(USPTO)Vidal長官