インドネシア知的財産総局(DGIP)との意見交換会を実施

2026年4月21日、インドネシア知的財産総局(DGIP)のHermansyah Siregar長官をはじめとする一行が、日本知的財産協会(JIPA)東京事務所を訪問し、意見交換を行いました。

当日は、DGIPより計6名が参加したほか、日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール事務所および国際協力機構(JICA)の関係者も同席しました。JIPA側からは小林理事長、上野専務理事をはじめ、グローバル模倣品対策・国際第4・商標の各委員長および関係者が出席しました。

会合では、双方の挨拶および参加者紹介に続き、主に以下の3つのテーマについて活発な意見交換が行われました。

1)模倣対策に関する取組および課題
DGIP長官は、EC上の模倣品対策を極めて重要な課題と位置付け、被害届手続の簡素化や関係省庁との連携強化によりテイクダウン体制が整いつつあり、違法ストリーミングなどへの対応も改善していると説明しました。一方で、プラットフォームへの制裁や規制強化については、親告罪という制度上の制約の下で対応に限界があるとし、国民や事業者への啓発の重要性についても言及しました。
また、CoCについては、MoUを起点にプラットフォームとの対話および仲介を進め、草案作成や合意形成が進展しているとの説明がありました。さらに、別アカウントによる再出品の問題についても課題として認識しており、ASEANでの協議や国際連携、日本の成功事例から学ぶ姿勢が示されました。

2)特許制度および運用に関する事項
特許分野では、インドネシアの2024年特許法改正を中心に意見交換が行われました。主なトピックとして、JIPA側から、実施報告書の提出義務(第20条A)について手続の簡素化を要望するとともに提出状況に関する質問を行いました。これに対しDGIP側からは、現状の運用に関する説明があり、現地代理人との連携の必要性および今後の改善検討の方向性が示されました。
また、遺伝資源/伝統的知識の起源の開示義務(第26条、第132条等)については、JIPA側から対象となる発明の明確化を求める要望がなされました。DGIP側からは、起源の不記載、不十分な記載、または意図的な秘匿は特許取消しのリスクにつながり得るとの説明がありました。その他の要望および質問事項については、時間の制約上、後日書面にて回答する旨の説明がありました。

3)商標分野における課題と実務対応
商標分野では、不使用取消審判における立証責任の在り方(立証責任の転換)や、商標の一部譲渡の可能性について、実務の観点から意見交換が行われました。
これに対しDGIP側からは、不使用取消審判は請求人に立証責任を負わせる民事訴訟法の考え方に基づく制度であり、立証責任の転換は困難であること、また商標の譲渡については、法改正により可能となったものの、厳格な要件やシステム上の制約から現状の運用を変更することは難しいとの説明がありました。
また、商標出願時の提出書類に関する新たな規則(取締役の身分証明書等)については、実務上の関心が高い事項として取り上げられましたが、時間の制約により、後日DGIPより書面にて回答する旨の説明がありました。

本会合は、インドネシアと日本の知的財産分野における相互理解を深めるとともに、今後の協力関係の強化に向けた有意義な機会となりました。JIPAとしては、今後も各国知的財産当局との連携を通じて、グローバルな知的財産環境の整備および企業活動の円滑化に貢献してまいります。