中国天津にて開催された、五極ユーザ会合(2025年5月27日)、五庁長官・ユーザ会合(同28日)に、国際政策WGの担当理事である若代副理事長、WGリーダ宮下、メンバー池嶌、久慈が参加しました。
五極ユーザ会合では、技術協力に関する議題として、①電子署名、②NET/AI、③図面様式統一、④グローバル譲渡書、⑤グローバルドシエを中心に、各国ユーザ団体の意見/アイディアが共有され、意見の擦り合わせが行われました。また、戦略トピックとしての経済の革新的発展を効果的に支援するための知的財産の活用と商業化の促進について各ユーザ団体の組みの共有、議論が行われました。
五庁長官・ユーザ会合では、五極ユーザ会合でまとめられたユーザ意見が、五極ユーザの総意として力強く発信されました。五大特許庁からは、ユーザからの貴重なフィードバックであり、参考にしたいとのレスポンスがなされました。また。戦略トピック経済の革新的発展を効果的に支援するための知的財産の活用と商業化の促進については、五庁そしてWIPOの取組みと各ユーザ団体の取組みとが相互に紹介されました。
- 五極ユーザ会合(5月27日)
日欧韓中のユーザ団体(JIPA、Business Europe、KINPA、PPAC)の代表者が集まり、五庁長官・ユーザ会合に向け、各国ユーザ団体からの意見を集約し五極ユーザのワンボイスとして発信するための意見のすり合わせ、各団体から個別に報告する事項の確認を行いました。
JIPAからは、主にJPOで取組みが進められた図面様式統一についての状況報告を行いました。
戦略トピック(Strategic Topic)である経済の革新的発展を効果的に支援するための知的財産の活用と商業化の促進については、オープンイノベーションに関する成功事例として、KDDIにおける事業共創プラットフォームKDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)を紹介しました。
また、他国のユーザ団体ともそれぞれ交流することができ、今後の政策統一に向けた強固な協力体制を継続させることができました。

- 五庁長官・ユーザ会合(5月28日)
日欧中韓の各特許庁、WIPOおよびユーザにより、種々の施策や戦略トピックに関し、意見交換が行われました。今回の会議は、CNIPA、PPACの共同議長により、以下のような議題について議事が進められました。- Technical Cooperation
- NET/AI
PPACはAIの知財業務への活用事例を紹介しました。AIによるデータ分析、ドキュメント作成、出願書面作成、侵害リスクのモニタリングなどが挙げられ、AIを活用した発明者サポートや社内の予備審査による業務効率化が報告されました。AIに関する国際的な協調、AI assisted IP management standardの設立、IPのPublic Servicesに関するAIの活用が提案されました。KINPAからもAIに関する取組みが報告され、AIの活用と先行技術の利用について模索していることが説明されました。EPOはAIが産業、生活、社会に与える変革の重要性を強調し、AIによる効率向上とコスト削減の成果を報告しました。JPOはAI技術を踏まえた特許制度の調査研究を進めていること、KIPOは審査におけるAIの活用の前向きな進展を報告しました。CNIPAはAI技術の進歩が知財保護と活用に新たなツールを提供していることを強調し、WIPOはNET, AIの迅速な台頭と複雑さ、今後の機会と挑戦について表明しました。各庁はAIの活用に関する取組みや意見交換の重要性を強調し、AI技術の進展とその影響について活発な議論が行われました。 - Global Dossier
KIPOはGD優先5項目についてテーマが順調に進んでいること、出願人名称統一に関するアンケート調査結果を説明しました。
ユーザ団体からは、これまでの庁の取組への感謝が表明され、引き続き、すべてのドキュメントのXML化と、アクティブコンポーネントの開発推進がリクエストされました。出願人統一については、IDベースの名称統一に修正することについて賛同しました。 - Global Assignment
KIPOより共通フォームの紹介が行われた。共通申請システムについては、Feasibility Studyを始めたいという説明があった。KINPAは、GDの推進により他国への移転が可能となり、重複申請やコスト削減の期待を表明しました。共通フォームの完成は大きな進歩であり、優先テーマにしてもらうよう提案を行いました。JIPAは共通フォームについて、利便性の観点から、英語以外の言語への対応をリクエストしました。 - Allowable features in drawings
JPOからIP5セーフフォーマットの対応完了が報告されました。
JIPAは、素晴らしい成果であり、対応完了に対する感謝を表明し、カラー図面についても引き続き技術的・法的観点から検討を継続するようリクエストしました。 - Update on IP5 Project Management
EPOは効率向上とマネジメントに注力し、各庁の役割分担を行いユーザーフレンドリーな成果を達成すること、ユーザ団体との意見交換を通じて効率性と透明性をさらに向上させ、継続的な改善を目指していくことが表明された。FOAのマネジメント強化、PJテンプレート作成、産業界との連絡の仕組みを整備し、2025年末までに目標を達成する計画が説明されました。 - Strategic Topic: Promoting the utilization and commercialization of IP to effectively support innovative development of the economy
本トピックでは、知的財産権(IP)を市場と結びつけ、経済の革新的な発展を支援するための政策、実践、提案について議論が行われました。
A. IP5 Offices’ Existing Policies and Measures to Promote Utilization and Commercialization of IP
EPOは、中小企業や大学、研究機関が知財アセットを活用し成長するための支援が紹介された。特許と経済を結びつけるためのユニファイドパテント制度や、特許資産を有する企業のレポート作成、投資家とイノベータのマッチングを促進する取組について説明を行いました。CNIPAは特許の事業化を促進するための特許の評価制度や大学の事業化サポート、JPOは大学の知財戦略構築やオープンイノベーションの支援、特許評価を通じた金融支援についての取組み、KIPOは知財を経済的価値に変えるための金融総合対策の策定及び知財の技術移転を促進するための取組みについて説明を行いました。
B. Typical Examples/Suggestions of Stakeholders on Utilization and Commercialization of IP
BEは知財の価値についてのカンファレンスを開催し、知財を担保にした資金調達の事例を紹介しました。JIPAからは、オープンイノベーションの成功事例として、KDDI ∞ Laboの取組みを説明しました。KINPAは知財を活かした資金調達の重要性を強調し、特許評価を通じた大学特許の移転の事例を紹介した。PPACは特許情報の共有と活用、産学連携のマッチング強化の取組みを紹介しました。



- サイドイベント「天津知的財産国際カンファレンス」(5月27日)
五庁長官・ユーザ会議のサイドイベントとして、”天津知的財産国際カンファレンス”が開催されました。本会合では、知的財産はビジネス環境にどのように役立てることができるのかについて、五庁・WIPO・ユーザからの登壇者によるスピーチが行われました。JIPAからは、若代副理事長にパナソニックにおける事例をご紹介いただきました。


左図:会場の全体図 右図:若代副理事長によるスピーチ @Grand Ballroom,
SHANGRI-LA TIANJIN
