2026年8月20日(木)、JIPA サービス・コンテンツ委員会は、株式会社島津製作所 本社にて、同社およびGenzo AI様との意見交換会を開催いたしました。
冒頭、島津製作所の阿久津様、Genzo AIの川村様のご挨拶に続き、特許実務直結型プラットフォームであるGenzo AIをご紹介いただき、以下に記載の事前質問に沿って意見交換を行いました。
| 開催日 | 2026年8月20日(木)15:00~17:15 |
|---|---|
| 開催形式 | リアル・オンラインのハイブリッド |
| 場所 | 島津製作所 本社 |
| テーマ | 生成系AIの知財業務への活用と実務上の課題 |
| 参加者(敬称略) | 島津製作所 阿久津 Genzo AI 川村 JIPA 奥脇副理事長、サービス・コンテンツ委員会(委員一同) |

<意見交換会>
【質問1】生成系AIの社内あるいは知財部内浸透と各人のスキルの差解消
ご回答・取り組み内容:
- プロンプト入力を不要にして、ワンクリックで作業できるUIを整備しつつ、部内会議でのGemini Notebook(旧NotebookLM)事例共有や有識者によるTips共有で部員のスキル差を平準化されているとのことです。
- 社内展開時に課題となったIT・法務等からのセキュリティ懸念に対しては、オプトアウト設定やSOC認証等の客観的根拠を提示し、実務データの蓄積を通じて段階的に社内合意を形成しているとのことです。
【質問2】調査・出願・中間・権利行使などの実務における具体的な活用事例とその効果の程度
ご回答・取り組み内容:
- 先行文献調査から事務所発注、中間処理、FTOスクリーニング、翻訳まで「生成系AI+人確認」を標準プロセスとして定着されているとのことです。
- ホワイトボードの議論から明細書草案を自動抽出する仕組みや、外国出願翻訳費のかなり大きなコスト削減など具体的な成果を創出されているとのことです。
【質問3】生成系AIによる調査時のノイズ落とし結果の確認要否
ご回答・取り組み内容:
- 生成系AIの社内展開に際して、信用獲得も含めて、当初は、生成系AIの出力結果に対してノイズとして処理された文献であっても、その後に人が問題ないかを確認する運用から始め、数十万件の運用検証を経て生成系AIの判定精度が立証されたため、ノイズと判断した文献の人による再確認作業は、2025年末に完全廃止されたとのことです。
- 非抵触の理由が日本語で提示されるため、判断根拠の確認のみで大幅な工数圧縮を実現されているとのことです。
【質問4】生成系AIによる業務が効率化に伴って懸念される知財業務スキルの低下に対する考え方
ご回答・取り組み内容:
- 技術者が特許本文を逐一熟読する意義は薄れており、IPL調査結果や生成系AIによる要約を活用した効率的把握で十分と捉えられているとのことです。
- 一方で若手部員に対しては、生成系AIの出力結果を上長へ口頭説明させるステップを設け、本質的な論理的思考力を養うOJTを組み込んでおられるとのことです。
【質問5】生成系AIが当たり前になった世界における知財部門の役割
ご回答・取り組み内容:
- 作業から解放された知財部門の役割は、高度な専門判断(係争対応等)、事業・顧客の意図を汲んだ将来のポートフォリオ構築、ROIに基づく投資配分検討へ移行しつつあるとのことです。
- 社内情報や対人コミュニケーションなど、生成系AIが取得できないコンテキストに基づく意思決定に特化する方針とのことです。
【質問6】生成系AIを活用した企業価値の見える化
ご回答・取り組み内容:
- 生成系AIを用いて「開発資料・特許・製品機能・営業データ・財務情報」を自動紐付けし、特定の特許が製品売上や利益にどれだけ寄与しているかを定量化する「IP ROIC」に取り組まれているとのことです。


<終わりに>
今回の意見交換会で得られた知見は、法的枠組みを超えてサービス・コンテンツ企業の事業成長や業界全体の価値向上に寄与するという、本委員会の基本目的に深く合致するものであり、今後のコンテンツ企業のビジネスモデル検討における重要な指針となりました。
また、単なる作業の効率化にとどまらず、コンテンツ・サービス分野における「人財育成」や知財実務の「再現性」確保に向けた有効な教育手法としても本取り組みを積極的に役立てていく考えです。
さらには、顧客体験やノウハウなどの「広義の知財」を効率的に言語化・保護し、ビジネスの強い武器へと変換するための実務フロー構築の検討に際しても参考にさせていただきます。特に第2小委員会が目指す「サービス事業・コト売り事業における競争力源泉(広義の知財)の評価・提示」においては、その定量的価値を客観的に示す先進的なフレームワークとして本手法を高度に活用し、今後の委員会活動および成果物の取りまとめに活かしてまいります。
最後になりましたが、ご多忙の折、非常に先進的で示唆に富む知見を惜しみなくご共有くださいました島津製作所の阿久津様、ならびにGenzo AIの川村様に、心より深く御礼申し上げます。
