【サービス・コンテンツ委員会】 日本弁理士会エンタメ・クリエイティブWGとの意見交換会を実施

概要

 2026年6月23日、JIPAサービス・コンテンツ委員会は、本年度設立された日本弁理士会エンタメ・クリエイティブWGとの意見交換会をJIPA東京事務所にて開催しました。
 

 本意見交換会は、コンテンツ産業・クリエイティブ分野における知的財産の活用や実務上の課題について、双方の活動状況や問題意識を共有し、今後の連携可能性を検討することを目的として実施したものです。
 

当日は、両組織から以下のメンバーが参加しました。
・日本弁理士会エンタメ・クリエイティブWG:
 角田WG長、松本副会長、大沼執行理事、西川執行理事、齊藤委員、田中委員、北口委員、杉村委員、山本委員、 
 竹内委員、事務局 須藤 氏
・JIPAサービス・コンテンツ委員会:
 上玉利委員長(ミネベアミツミ)、土田副委員長(日清紡ホールディングス)、齋藤委員(セコム)
 熊谷事務局長
 

 冒頭、松本副会長・熊谷事務局長のご挨拶に続き、日本弁理士会エンタメ・クリエイティブWGから設立目的や活動方針などを紹介いただきました。JIPAサービス・コンテンツ委員会からは、今年度サービス産業研究会から委員会に改組された背景、委員会全体の活動内容、コンテンツ分野を取り扱う第一小委員会の検討状況を紹介し、意見交換を行いました。

意見交換の主な内容

①コンテンツ分野の捉え方と今後
・デジタルコンテンツ、キャラクター、映像、出版、音楽、ゲーム、漫画など分野ごとに商流、権利処理、契約実務、関係者の構造が大きく異なることが確認されました。
・今後の調査研究においては、対象分野や法域を一定程度絞り込み、共通フレームを設定しながら、具体的な成功事例・失敗事例を分析していくことが有効ではないかとの意見が出されました。

②コンテンツ分野の知財人材の在り方
・大手コンテンツ企業では、社内に権利処理や契約実務のノウハウを蓄積し、資格の有無にかかわらず高い実務能力を有する人材を育成している例がある一方、中小企業やクリエイター、コンテンツを活用する一般事業企業においては、著作権や契約に関する基礎的な知識・相談先が十分でない場合もあるとの指摘がありました。
・特に、コンテンツがヒットした後では権利処理や商標確保が手遅れになるケースもあるため、事業化の早い段階から専門家が関与することの重要性が共有されました。

③模倣品・海賊版対策への実務的なアプローチ
・キャラクター商品や映像・出版物等をめぐる実務上の課題として警告書の送付、ECサイトへの申立て、モニタリング企業の活用、水際対策(税関登録など)、海外事業者との交渉や訴訟対応など多様な手段が取り上げられました。
・ネット販売を通じた模倣品への対応は「モグラたたき」となりやすく、継続的な監視と実効的な対応体制が求められるほか、正規ライセンスへの誘導や、業界全体での共同対応の可能性についても意見が交わされました。

④国際化・デジタル化に伴う契約実務の課題
・フリーランスや小規模クリエイターとの取引において、契約締結に要するコストや業界慣行を背景に、権利処理が十分に行われないまま制作・利用が進む場合があることが共有されました。
・出版、音楽、映像等の分野にはそれぞれの慣行が存在するものの、ビジネスの国際化やデジタル流通の拡大に伴い、従来の慣行だけでは対応しきれない場面も増えています。特に海外とのライセンス交渉では、不利な契約条件を受け入れてしまうリスクもあり、早期の専門家相談や契約書確認の重要性が改めて確認されました。

➄キャラクター・ブランドの活用
・企業が自社製品・サービスの訴求を目的としてマスコットキャラクターを制作・活用する動きや、地域キャラクターのIP化・ブランド管理の成功例などが紹介され、コンテンツと一般事業会社のビジネスが融合していく潮流が示されました。

今後に向けて

 今回の意見交換会を通じて、コンテンツ産業の知的財産課題は、著作権に限らず、商標、意匠、契約、ライセンス、模倣品対策、海外展開、ブランド戦略など、多面的な検討を要することが改めて確認されました。
また、業界慣行を踏まえつつも、クリエイター、企業、専門家が適切なタイミングで連携することが、コンテンツの価値を守り、事業として発展させるうえで重要であるとの認識が共有されました。

 日本弁理士会エンタメ・クリエイティブWGでは、今後、コンテンツ分野に関するイベントやシンポジウムの開催も検討されており、JIPAとしても会員企業の実務課題やニーズを踏まえ、引き続き情報交換・連携を進めていく予定です。サービス・コンテンツ委員会では、今回得られた示唆を今後の調査研究に活かし、サービス産業・コンテンツ産業における知的財産の活用と課題解決に資する成果の発信を目指してまいります。