第68回 WIPO加盟国総会への参加(小林理事長による一般演説、WIPO事務局長ダレン・タン氏とのバイ会談ほか)

2026年7月7日から15日に、世界知的所有権機関(WIPO)加盟国総会が、スイスジュネ―ブ現地とオンラインのハイブリッド形式で開催され、JIPAから小林利彦理事長と上野剛史専務理事が現地で参加しました。

現地時間7日、加盟国総会冒頭で、WIPOのダレン・タン事務局長がスピーチを行いました。知的財産を単なる権利保護の仕組みではなく、イノベーション、創造性、投資、雇用及び経済成長を促す「開発の触媒」と位置付けました。世界的な経済の不確実性が続く中でも、無形資産への投資や知的財産関連取引は拡大しており、知的財産の重要性は先進国だけでなく、新興国を含む幅広い国で高まっているとの指摘がありました。

また、過去6年間の成果として、国際登録制度の強化、二つの新条約の採択、各国知的財産庁のデジタル化支援に加え、中小企業、女性、若者、地域コミュニティなどへの支援拡大を挙げられました。デジタルプラットフォームの活用により、従来の専門家層を超えて、より多くの人々がWIPOの活動に参加する環境も整備した点も言及されました。

今後は、タン事務局長が二期目に掲げる「4 Dreams」として、①知的財産を社会や経済の中でより身近なものにすること、②幅広い国・地域・人々が知的財産制度を利用できる環境を整えること、③AI時代に対応して制度やサービスを近代化すること、④効率的で信頼される国際機関としてWIPOを強化すること、という4つの重点方針を示しました。(※出典:World Intellectual Property Organization(WIPO), “Report of the Director General to the Assemblies of WIPO – July 7 to 15, 2026”  Report of the Director General to the Assemblies of WIPO – July 7 to 15, 2026本文を基にJIPAが日本語訳・要約したものです。)

会議の様子(写真:Emmanuel Berrod/WIPO(CC BY 4.0))

翌日8日には、加盟国の一般演説に続き、オブザーバーとして小林理事長によるJIPAの一般演説が行われました。一般演説では、JIPAはWIPOの「誰もが恩恵を受けるイノベーションと創造性を知財で支える」という理念に深く共感し、民間の立場から知財を通じた持続可能な発展と社会的包摂に貢献すべく、WIPOとの連携を深めることを表明しました。

※「小林利彦理事長一般演説PDF」はこちら

WIPO加盟国総会で演説を行う小林理事長

さらに、JIPAは総会期間中、WIPOのダレン・タン事務局長および5つのセクターの各責任者(Patents & Technology Sector、Global Challenges and Partnerships Sector、Infrastructure and

 Platforms Sector、IP and Innovation Ecosystems Sector、Brands & Designs Sector)と個別に会談しました。会談では、ユーザー団体としてのJIPAに対する期待や今後果たすべき役割について意見を伺うとともに、今後の活動に生かすための有益な意見交換を行いました。

WIPOのダレン・タン事務局長とのバイ会談(左から上野専務理事、タン事務局長、小林理事長)

また、日本国特許庁の河西長官、在ジュネーブ日本政府代表部の永井大使とも意見交換を行い、知的財産政策や国際情勢の現状そして国際連携のあり方について議論しました。

日本国特許庁の河西長官との意見交換
在ジュネーブ日本政府代表部の永井大使との意見交換

これらの対話を通じて、JIPAと国内外の関係者との連携が、今後さらに幅広く、かつ一層深まっていくことが期待されます。