第5回関西金属機械部会を開催

2026年1月23日(金)から1月24(土)にわたり、2025年度の第5回関西金属機械部会を下記プログラムの通り開催いたしました。
ヤマハ株式会社 掛川工場内 ハーモニープラザでは、同社の歴史やピアノの素材となる木材、ピアノの構造に関する説明を受けたほか、製造ラインや調律・整音工程を見学し、完成したピアノの聴き比べなども体験させていただきました。

講演①では、共同開発、共同出願、ノウハウライセンスという3つの主要な契約類型について、実務上のリスクと対策を解説いただきました。
共同開発契約においては、何を発明やノウハウといった「成果」として定義するかを明確にし、その帰属(単独か共有か)を慎重に定める必要があります。特に、成果の実施において相手方の製造委託などを無期限に制限することは、独占禁止法上の問題を生じさせるリスクがあるため、合理的な条件設定が求められると解説がありました。
共同出願契約では、出願手続きの主導権や費用負担の割合をあらかじめ定めておくことが重要です。特に外国出願については、国内とは費用や戦略が異なるため、別途協議事項とするか、不参加時の取り扱いを事前に規定しておくことが推奨されると解説がありました。
最後に、ノウハウライセンス契約については、特許権のように法令で範囲が定まるものではないため、契約書や技術指導書等で対象となるノウハウを具体的に特定することが不可欠であると指摘されました。また、ノウハウは秘密管理性が法的保護の要件となるため、通常の秘密保持契約以上に厳格な情報管理体制やアクセス制限を契約に盛り込むべきであるとのアドバイスがなされました。

講演②では、「特殊パラメータ発明」に対する防御策として、特に先使用権の活用法と立証の実務的ポイントを解説いただきました 。
まず、特殊パラメータ発明は先行例が乏しいため新規性や進歩性が認められやすく、既存製品が知らぬ間に権利範囲に含まれてしまうリスクがあることが指摘されました。これに対抗する手段として、「先使用権」が有効であると説明されました。特に重要な点として、先使用者が当該パラメータを認識していなくても、製品が客観的に特許発明の技術的範囲に属していれば先使用権が成立し得ることや、発明の同一性を失わない範囲であれば、後の仕様変更やモデルチェンジにも効力が及ぶことが判例(ランプ及び照明装置事件等)を交えて解説されました。
次に、先使用権を立証するための「法的証明」の考え方について言及がありました。裁判においては、科学的に絶対的な真実であることよりも、裁判官という「通常人」が納得するような「ストーリー」を提示することが重要であると強調されました。特に、特殊パラメータ発明の場合、過去のサンプルの測定データが残っていないことが多いため、ラボノートでの実験結果、事業化を決定した会議議事録、金型や部材の発注書といった間接証拠を積み上げ、発明の完成から事業の準備に至る一連の流れを証明する必要があると解説がありました。
最後に、紛争に備えた具体的な証拠保存の方法が提案されました。可能であればサンプルを公証役場で封印することが理想的ですが、それが難しい場合でも、測定データや製造条件を確定日付付きで保管することや、経時変化の影響を排除するために定期的にサンプルを保管・分析し、変化の傾向(トレンド)を把握しておくことが有効です。また、技術的な資料だけでなく、対外的な取引記録などの「事業に関する証拠」が、即時実施の意図を外部に表明したものとして強力な証拠になるため、これらを適切に管理することの重要性が説かれました。

参加いただいた会員企業のみなさまから多数の質問が寄せられ、講師の方々を交えて活発な議論が行われました。1日目の講演会後に開催した懇親会では、講演会講師にもご出席頂き、幅広く意見・情報交換を行い、会員相互の親睦を深めました。

<実施概要>

2025年度関西金属機械部会
第5回開催日1日目2026年1月23日(金)13:30~16:30(懇親会:18:00~20:00)
2日目2026年1月24日(土)9:00~11:00
開催形式対面
場所・施設見学ヤマハ株式会社 掛川工場内 ハーモニープラザ
講演①知財関連契約の留意点
講師①弁護士法人イノベンティア パートナー
弁護士・ニューヨーク州弁護士 町野 静 様
講演②パラメータ特許への備え
講師②イノベンティアグループ代表弁護士法人イノベンティア代表社員
弁護士・弁理士・ニューヨーク州弁護士 飯島 歩 様
講演③知財を巡る最新トピックス
講師③一般社団法人日本知的財産協会 
事務局長代行兼関西事務所長 松本 宗久 様
参加者参加者合計:22名(参加会員:16社19名、JIPA:1名、講師:2名)