コーポレートガバナンスの法務と実務 会社法・コード・善管注意義務・開示

編著TMI総合法律事務所 コーポレートガバナンス プラクティス・グループ
出版元商事法務 A5判 472p
発行年月日・価格2024年6月発行 5,720円(税込)

 コーポレートガバナンスとは,企業の健全な経営のために,組織での不正や不祥事を未然に防ぎ,公正な判断や運営が行えるように監視・統制する仕組みのことである。日本語では「企業統治」という。古くから存在する概念であるにもかかわらず近年ますます重要性を増しているが,各企業のコーポレートガバナンスは一般的に必ずしも明確ではなく,実務にあたって戸惑う場面も多いと思われる。
 このような状況を受けて本書は,担当者が実務に迷いなくあたれることを目的として,「機関構成の選択」から「公正な情報開示」に至る,コーポレートガバナンスで取り扱う見出し項目について, 「法令上の取扱い」「善管注意義務の関係」「情報開示」「コーポレートガバナンス・コード等」「機関投資家等のスタンス」,等の観点のうち,これら見出し項目ごとに,それぞれに該当する観点を取り上げて説明している。 そして本文を読めば当面実務に迷いなくあたれるのに十分な記載を行ったうえで,記載の根拠となる文献を豊富に脚注として示し,さらに詳細を知りたい者が深く学べるようにしている。
 例えば最初の見出し項目「機関構成の選択」については,「法令上の取扱い」にあたる観点として機関構成の選択に関する会社法上の定め,「コーポレートガバナンス・コード等」の観点として機関構成の選択にかかるコーポレートガバナンス・コードなどについて丁寧に説明している。また表形式に整理できる内容については表として整えている。以降の見出し項目についても同様に分かりやすく記載している。
 本書の読み方・使い方であるが,参考書・実用書といった類の書籍であるから,斜め読みで全体像を把握したり疑問点を辞書的に参照したりとニーズに合わせた読み方ができる。また必要に応じて豊富な脚注に挙げられている参考文献にあたってみてより理解を深めていくような使い方ができる。
 なお本書の中には知財に特化した記載は見られない。ただ,近年知財関連部門においてもコーポレートガバナンスへの理解,関わり方が議論されることは多いと推測される。そういった意味で,コーポレートガバナンスとは何ぞやということについて知ろうとする知財担当が手に取るに好適な一冊となろう。

(紹介者 会誌広報委員 I.N.)