| 編著 | 岡田 淳、中野 玲也、古市 啓、羽深 宏樹 編著 |
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| 出版元 | 商事法務 A5判 356p |
| 発行年月日・価格 | 2020年11月発行 4,180円(税込) |
本書は,今日のプラットフォームビジネスを11種類に分類し,それぞれのビジネスモデルとこれに関わる法令を体系立てて整理している。事業運営者はもちろん,プラットフォーム上でビジネスを行う事業者やユーザー等のステークホルダーが,実務上留意すべき法的論点が網羅されている。
プラットフォームは現代社会にとって不可欠な存在となっている。検索サービスやSNSをはじめ,オンラインショッピングモールや動画配信,飲食店の予約から婚活サイト,転職サイトまで,様々なサービスが提供されている。その意味でも,本書はビジネスの観点のみならず,我々の日常生活とプラットフォームの関わりを振り返る上でも興味深い内容だった。
本書の特徴を三点挙げる。一点目は分類のユニークさである。プラットフォームビジネスを類型化するにしても,当該ビジネスの独創性の故にその位置付けが困難な場合が少なくない。この点,例えば飲食店のサービスについて,宿泊施設や理美容室とともに「サービス予約型」に分類し,これらのサービスにおける共通の課題であるランキング制度や口コミ制度,無断キャンセルといった問題についての法的論点を取り上げている。このことは,実際のリーガルリサーチの観点から各ビジネスを検討する際に,適用される法令・規制が逆引きしやすくなっており,読者にとってもやさしい仕組みとなっている。
二点目は,全てのビジネスに共通して適用される四つの法,すなわち「デジタルプラットフォーム取引透明化法」,「独占禁止法」,「個人情報保護法」および「プロバイダ責任制限法」について独立した章を設けて手厚く解説していることである。いずれも,IT分野では特に重要な法令である一方で,ガイドラインなどを読んでも抽象的な部分も多く,自社のビジネスで気を付けるべき点はどこなのか,不明確なのが実情である。この点,プラットフォームビジネスに特化し,手厚く解説している本書は貴重な存在と言える。
さらに,米国やEU,中国の規制動向も紹介されている。発刊時点である2020年秋頃までに生じた考慮すべき事項は広範囲に網羅されているものの,プラットフォームに対する法規制をめぐる議論はいずれの国や地域においても現在進行形のため,執筆時点での最新動向に留まる。しかし,基本的な考え方やその枠組みは将来においても応用できるだろう。この点,執筆者も今後本書を都度改定することを想定しているようである。実際に,本書の発売直後に生じた米国大統領選についての,SNSをはじめとするプラットフォームが負うべき役割や責任など,今後専門家に深掘りして欲しい事項も少なくない。
今後の続編に是非注目したい一冊である。
(紹介者 会誌広報委員 K.I)
