| 編著 | 大貫 進介 著 |
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| 出版元 | 発明推進協会 A5判 400p |
| 発行年月日・価格 | 2024年4月18日発行 3,850円(税込) |
「特許出願の中間手続に特化」「最新の法改正事項(中略)など,著者の経験,ノウハウの全てを網羅」した基本書という帯の推薦文に惹かれ,今まで実務を通して培ってきた中間手続の知識や勘所を体系的に整理し,スキルアップを図りたいと考え,本書を手に取った。
第Ⅰ部(序説)では,出願~拒絶理由通知~応答の概略が説明され,初学者でも本書を読み進めることができるよう配慮がなされている。
第Ⅱ部(拒絶理由通知への応答)は,本書の約7割を占める中核的なコンテンツである。まず,拒絶理由通知で示される新規性,進歩性,記載不備等に関連する法規定について,冒頭でコンパクトに説明されている。そして,拒絶理由を様々なパターンに分類し,パターン毎の対応方法が整理されている。例えば,拒絶理由通知でよく見られる,主引用発明に他の引用文献をを組み合わせることで本願発明の進歩性が否定されるパターンについて,様々な切り口(技術分野の関連性,課題の共通性,作用・機能の共通性,示唆の不存在)での反論のやり方,意見書の参考例,関連判例の紹介が,詳細に盛り込まれている。また,最新の法改正事項として,マルチマルチクレームの制限などについて具体例を交えて述べられている。
続いて,意見書において有効な反論を展開するための考え方という発展的な内容が述べられており,これが本書の特徴である。不要な主張も盛り込まれた有効性の乏しい意見書(本書では「戦略的でない意見書」と表現)と,有効な意見書(本書では「戦略的な意見書」と表現)の一例を示し,その記載の有効性を検討することで,意見書において必須な項目は何か,どのように反論を展開すべきかということが丁寧に解説されている。
第Ⅲ部(補正,分割,特殊な特許出願)では,まず補正に関する各種規定のコンパクトな説明から始まる。続いて,補正の類型を紹介し,許される補正と許されない補正についての具体例を通して,補正に関する規定の理解がより深まる内容となっている。分割出願や外国語書面出願についても参考となる情報が記載されている。
各章の冒頭で,関連する法規定の解釈についてわかりやすく説明されており,初学者でも無理なく読み進められるよう配慮されている。実務経験者も,興味のある拒絶理由や補正要件から,欲しい情報にアクセスできる構成となっており,日々の中間手続業務で生じた疑問を解決するヒントを得ることができる。本書で述べられた拒絶理由パターンに応じた反論の考え方および意見書の論理展開を理解し,実際に日々の拒絶理由通知への応答で実践していけば,かなりのスキルアップが期待できると感じた。著者の弁理士としての経験豊富なノウハウが随所に詰め込まれた,初学者から実務経験者まで幅広い読者に活用頂ける基本書となっている。
(紹介者 会誌広報委員 T.M.)
