公正取引委員会宛「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」改正案および「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」改正案に対する意見

2026年7月23日、公正取引委員会宛に、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」改正案および「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」改正案に対する意見を提出しました。

背景

今回の改正案は、2026年6月24日に公表された「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」を踏まえ、中小受託事業者やフリーランスとの取引における知的財産権、ノウハウ、データ等の取扱いを関係法令の運用に反映するものです。

JIPAは、同指針および契約書ひな形の案に対しても2026年4月に意見を提出しています。今回も、適正な知財取引の促進と、委託者・受託者双方の予見可能性の確保という観点から、規定の明確化を求めました。

意見の概要

JIPAは、主に以下の点について意見を提出しました。

  • 情報成果物の二次利用
    • 問題となる二次利用は、合意した利用目的・範囲を超えて、対価を支払わずに知的財産権等を利用する場合であることを明確にすること。
    • 利用範囲や対価について事前に合意している場合、Web、SNS、アプリ等での利用が直ちに不当な無償利用に当たらないことを示すこと。
  • 給付内容の変更等による損失
    • 委託者が求める「給付内容の不当な変更ややり直し」により受託者に生じた損失は、当該行為と相当因果関係のある範囲に限られることを明確にすること。
  • 海外法人等への適用
    • 国際取引への影響を踏まえ、海外法人等が法律の適用対象となる場合の判断基準を明確にすること。
  • 知的財産権等の譲渡・許諾と対価
    • 譲渡・許諾を給付の内容に含める場合と含めない場合について、想定される契約形態、利用範囲および対価の取扱いを明確にすること。
  • 受託事業者による二次利用の制限
    • 二次利用の制限が不当とされる場合について、契約内容や知的財産権等の性質、取引実情を踏まえて判断されることを明確にすること。
  • フリーランス取引における損失
    • フリーランスとの取引についても、変更ややり直しに伴う損失の範囲を、相当因果関係のあるものに限定すること。
  • 個別具体的な判断の周知
    • 優越的地位の濫用等への該当性は、契約条件だけでなく、技術的寄与、対価、交渉経緯、契約目的等を総合的に考慮して判断されることを周知すること。

JIPAは、適正な知的財産取引を促進するとともに、正当な契約や通常の事業活動が過度に制約されない、予見可能性の高い制度となることを期待しています。